人はそれぞれの過去を持っています。どんなに気が合う友人でも、どんなに親しみの持てる知り合いでも、どんなに好きな恋人であっても、決して“同じ価値観”の人間は存在しません。人の価値観というものは、“生まれ持った性質”と“育った環境”・“今までに受けた感情”で作られる物であるので、全く同じ性質を持ち、全く同じ環境で育ち、全く同じ感情を受ける人間は、世界に2人と存在しない物であると、私は思います。よくテレビ番組等では生き別れた双子が、全く違う土地で同じような人生を生きていた…なんてことが放送されていたりしますが、あくまでも“同じような環境”であって“同じ環境”ではないのです。
そう考えると、全く異なる価値観を持つ者同士が一緒の時間を共有していきたいと思う感情を生み出させる恋愛とは…本当に不思議なものであるのでしょうね。異なる価値観を持った他人同士が、その先の人生の貴重な時間を共有したいと思う気持ちは…人間ならではの感情でもあります。人間は“共存本能”と“状況に対する適応能力”があるからこそ、ここまで生き延び…進化を進めてきた霊長類なので、その本能が働いているのでしょう。
「共存本能とか、適応能力とかがあるならば、自分の価値観に近い人を好きになるのではないの?多くの人は自分との価値観の不一致で別れたりしているのに…この説は納得できない!」…と、何とも正論な意見をおっしゃられる方もいることでしょう。確かにその意見には一理あります。しかし…人間の本能とは…もっと奥深いところにあるのですよ。
“共存本能”と“状況に対する適応能力”を本能とする我々人類は、“あえて自分の価値観と一致しない人を探す本能”を兼ね備えていると言われています。それはなぜだと思われますか?実は…自分の価値観に最も近い人間は…“家族・親族”になるからなのです。
家族、親せき同士でも価値観の合わない人はもちろんいますが、遺伝子的に近しい存在である近親者は…“本能が価値観の近い人間”と判断してしまうのです。価値観の近しい人間イコール近親者…この関係で恋愛や結婚を繰り返してしまうと、どうしても血が濃くなって先の子孫の遺伝子に良くない影響がでてしまうとされています。
このことを踏まえて…“共存本能”と“状況に対する適応能力”を持ちながら、共存していくための労力が必要となってくる“あえて自分の価値観と一致しない人を探す”ことが人間の本能として備わっているそうです。このように科学的に考えてみることで、恋愛における価値観の不一致に対する皆さんの感情は、少し変わってくるのではないでしょうか?
価値観の一致する人間は存在しません。価値観が近いと判断される近親者は、無意識に回避する本能があります。…ということは、自分が好きになる人間とは、“自分と価値観の合わない人間”であって、当たり前のことなのです。このようなことも、1つの説として、心のどこかにおいていただければ…皆さんがいつか心が悲しいと感じてしまうような恋人との価値観の不一致にぶつかったとしても…少しは心が軽くなると思います。